表象の奈落 新装版

-フィクションと思考の動体視力-

蓮實重彦 著

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表象の奈落 新装版

定価2,640円(本体2,400円)

発売日2018年5月25日

ISBN978-4-7917-7068-7

不可能性を超えて、事件を炸裂させる〈力〉
バルト、ドゥルーズ、デリダ、フーコー、そしてフローベール——「批評」は他者の言説の中でまどろむ記号に触れ、それを目覚めさせることから始まる。読むことで潜在的なものは顕在化しその覚醒によって他者の言説は誰のものでもない言説へと変容する。不朽の「批評」論集。

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【目次】


I 墓の彼方の追想

倦怠する彼自身のいたわり ロラン・バルト追悼
ジル・ドゥルーズと「恩寵」 あたかも、ギリシャ人のように
「本質」、「宿命」、「起源」 ジャック・デリダによる「文学と/の批評」

Ⅱ フーコーの世紀

フーコーと《十九世紀》 われわれにとって、なお、同時代的な
視線のテクノロジー フーコーの「矛盾」
聡明なる猿の挑発 ミシェル・フーコーのインタヴュー「権力と知」のあとがきとして

Ⅲ 記号と運動

「魂」の唯物論的擁護にむけて ソシュールの記号概念をめぐって
視線、物語、断片 ボッティチェルリの『春』と『ヴィーナスの誕生』
命名の儀式 サルトル『嘔吐』にたどりつくまで

Ⅳ 近代の散文

『ブヴァールとペキュシェ』論 固有名詞と人称について
曖昧さの均衡 セリーヌ著『北』を読む
小説の構造 ヨーロッパと散文の物語

Ⅴ フィクション、理論を超えて
エンマ・ボヴァリーとリチャード・ニクソン 『ボヴァリー夫人』とフィクション
「『赤』の誘惑」をめぐって フィクションについてのソウルでの考察
バルトとフィクション 『彼自身によるロラン・バルト』を《リメイク》する試み

 

あとがき
初出一覧

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[著者] 蓮實重彦(はすみ・しげひこ)

1936(昭和11)年東京生まれ。東京大学文学部仏文学科卒業、65年パリ大学文学人文学部から博士号を取得。東京大学教養学部教授を経て93年から95年まで教養学部長、95年から97年まで副学長を歴任し、97年4月から2001年3月まで第26代総長。1999年に、芸術文化コマンドゥール勲章受章。

主な著書に、『反=日本語論』(1977年、読売文学賞)『監督 小津安二郎』(1983年、仏訳版でフランス映画批評家連盟文芸賞)『凡庸な芸術家の肖像 マクシム・デュ・カン論』(1989年、芸術選奨文部大臣賞)『スポーツ批評宣言あるいは運動の擁護』(2004年)『「赤」の誘惑 フィクション論序説』(2007年)『随想』(2010年)『「ボヴァリー夫人」論』(2014年)など多数。小説に、『陥没地帯』(1986年)『オペラ・オペラシオネル』(1994年)『伯爵夫人』(2016年、三島由紀夫賞)。