定価2,420円(本体2,200円)
発売日2018年4月21日
ISBN978-4-7917-7064-9
なぜ1ギガバイトで生命は成り立つのか?現代生物学に一石を投じる新しい理論の誕生!
DNAは情報量としては1ギガバイトにも満たない。そのなかに、生命のすべてが刻み込まれているのか?「DNAは、川の流れのなかの1本の杭(くい)に過ぎない」。自由エネルギー、不均一性、フィードバックなどの概念を用いながら、生命をDNAに「還元」するのではなく、エネルギーの流れのなかで「創発」するものであることを明らかにする。
生物学の“当たり前”に挑戦する意欲作!
【目次】
はじめに――生命の科学と哲学
第Ⅰ部 プロローグ――測れる生命と動的な生命
1 生命を計る――1ギガバイトという生命の謎
2 『方丈記』が語る動的構造・秩序
第Ⅱ部 生命論の歴史の四つの側面
3 自然発生の否定から生命起源の学説へ
4 メンデルの法則からゲノム科学へ
5 ラマルク、ダーウィンからエヴォ・デヴォへ
6 シュレーディンガーから複雑系理論へ
第Ⅲ部 1ギガバイトの生命
7 不均一性をもとに考える
8 エントロピー、不均一性、そして情報量
9 生物の構造をつくる複雑さ
10 細胞をつくる情報
11 細胞とゲノムの情報
12 バブルのからくり
第Ⅳ部 わきあがる生命
13 究極的な生命の駆動力は太陽
14 代謝がもつ駆動力
15 創発的構造形成は生命の特徴
16 遺伝情報と細胞装置
17 遺伝情報とコンピュータの情報
18 遺伝子ネットワークと情報
19 メタ創発過程としての進化
20 生かされている生命
第Ⅴ部 改めて考える生命の法則
21 「もの」と生命の自然法則
22 分子生物学は機械論なのか
23 システム的理解は万能なのか
24 繰り返しの大切さ
第Ⅵ部 人間だけがもつ情報
25 生命記号論の世界
26 ヒトの進化と情報
27 文化の進化
28 コンピュータ社会における情報の自律的発展
第Ⅶ部 エピローグ――不均一性と創発
29 創発論の復活
30 さまざまな疑問に対して
あとがき
[著者] 佐藤直樹(さとう なおき)
1953年岐阜県生まれ。生物学者。東京大学理学部卒業。同大学院理学系研究科博士課程修了。専門は光合成生物の脂質合成・ゲノム解析・進化と生物哲学。東京学芸大学教育学部助教授、埼玉大学理学部教授を経て、現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。機械論や要素還元主義ではなく、循環と創発にもとづく「めぐりめぐむ生命」観を打ち出している。著書に『エントロピーから読み解く 生物学』(裳華房、2012年)、『40年後の「偶然と必然」』(東京大学出版会、2012年)など、訳書に『生物科学の歴史』(みすず書房、2017年)などがある。