定価3,080円(本体2,800円)
発売日2017年12月20日
ISBN978-4-7917-7031-1
終わりとはなにか、中断とはなにをもってなされるものか、未完の可能性の中心
幸田露伴の漢文脈はなぜ近代文学と接続しえなかったのか、トーマス・マンとワーグナーの壮麗なすれ違いはいかなる芸術を生み、ハイデガーによるテクネーの問いはいかにして人間性を説き起こし、エグルストンの風景はアメリカをどのように切り出したのか――圧倒的なエピソードの奔流と、豊穣かつ痛切な思惟が繰り広げる歴史と文学の交錯、数多の書物を世に問うてきた著者が渾身の力を注ぎながらついに果たしえなかった未完の連載を待望の集成。
【目次】
まえがき
露伴彬彬
第一章 露伴的な文と溢れ出るもの
第二章 露伴的な歴史と過去という炎(上)
露伴的な歴史と過去という炎(下)
第三章 写生の虚偽と解釈の真実(上)
ヨーロッパの死
序章 ローマ人との対話
第一章 H・ブロッホとM・ユルスナール(上)
H・ブロッホとM・ユルスナール(下)
第二章 教養と普遍と――古典主義と自己目的(上)
教養と普遍と――古典主義と自己目的(中)
教養と普遍と――古典主義と自己目的(三)
教養と普遍と――古典主義と自己目的(四)
第三章 若きヨーロッパ人――魂と身振り(上)
若きヨーロッパ人――魂と身振り(中)
若きヨーロッパ人――魂と身振り(下の一)
若きヨーロッパ人――魂と身振り(下の二)
第四章 ワーグナー的人間(上)
ワーグナー的人間(二)
ワーグナー的人間(下)
アドルフ・ヒトラーとハイデガー哲学
序 テクネーとテクノロジィ
建築と共同体(上)
建築と共同体(中)
テンス、テラー&テロワール
文芸評論家(一)
文芸評論家(二)
初出一覧
[著者] 福田和也(ふくだ・かずや)
1960年東京生まれ。慶應義塾大学文学部仏文科卒。同大学院修士課程修了。慶應義塾大学環境情報学部教授。1989年、『奇妙な廃墟――フランスにおける反近代主義の系譜とコラボラトゥール』(国書刊行会)を刊行し、文筆家としての活動を開始。1993年、『日本の家郷』(新潮社)で三島由紀夫賞を受賞。『甘美な人生』(ちくま学芸文庫)で平林たい子文学賞、『地ひらく――石原莞爾と昭和の夢』(文春文庫)で山本七平賞、『悪女の美食術』(講談社文庫)で講談社エッセイ賞を受賞。『人間の器量』『死ぬことを学ぶ』(新潮新書)、『昭和天皇』(文春文庫)等著書多数。本書収録の連載は当面完結の予定はありません。