定価2,200円(本体2,000円)
発売日2017年12月20日
ISBN978-4-7917-7032-8
地母神信仰、イザナミ、ヌナカハヒメ、オホゲツヒメ、アマテラス……
日本の神話における女性の神々の役割を多角的に分析し、現在にいたるまで私たちの信仰や生活に影響をあたえつづけている女神の力を、日本だけでなく、他の地域の古代信仰や男性神との比較から明らかにする。
【目次】
はじめに
第1章 縄文時代の宗教の中心だった地母神の信仰
1 地母神を表した土偶
2 オホゲツヒメとウケモチに受け継がれた縄文時代の母神の性質
3 里芋の栽培の名残り
4 地母神への加害だった作物の栽培
5 地母神の像でもあった深鉢
6 釣手土器に表わされた母神とイザナミ
7 死の女神でもあった大地母神
8 母神の体内からの再生
9 今も日本人の心に生き続けている縄文時代の母神
第2章 ヌナカハヒメとの結婚によって完成した八千矛の神の国作り
1 ヤチホコの神とヌナカハヒメの歌のやり取り
2 国作りの締めくくりとなったスセリビメとの交合
3 スクナビコナとした国作りの意味
4 大物主の助けが持った意味
5 翡翠の女神との結婚
第3章 アマテラス大御神に見る日本人の憧憬の化身
1 生まれるとすぐに天上の神々の女王になったアマテラス大御神
2 他の神話で最高神たちが神々の王になるためにした戦い
3 最高神であり続けるために、エジプトの太陽神レーがした戦闘
4 他の神話の最高神の苛酷さと、対蹠的なアマテラスの慈悲深さ
5 処女神のままで、皇室の祖母の母神となったアマテラス
6 アマテラスのオシホミミへの溺愛に見る、日本人の理想の母への憧憬
7 価値を否定されて、世界から追放されたスサノヲ
8 追放の後にスサノヲが始めた、世界への貢献
9 偉大な神への変化と、根の堅州国でのスサノヲ
10 娘の結婚を妨害しようとしたスサノヲと、ギリシア神話のオイノマオス
11 ヒッポダメイアの話の凄惨な余波と、オホクニヌシがスサノヲから与えられた祝福
12 抵抗の末に「国譲り」し、丁重な扱いを受けることになったオホクニヌシ
13 アマテラス大御神の慈悲心と、日本神話の特長
あとがき
[著者] 吉田敦彦(よしだ・あつひこ)
1934年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科西洋古典学専攻課程修了。フランス国立科学研究所研究員、成蹊大学文学部、学習院大学文学部教授を歴任。学習院大学名誉教授。専攻は比較神話学。著書に『日本の神話』『鬼と悪魔の神話学』『縄文の神話』『大国主の神話』『ギリシァ神話と人間』(以上、青土社)、『日本神話の源流』(講談社学術文庫)など。