定価2,420円(本体2,200円)
発売日2017年10月7日
ISBN978-4-7917-7016-8
〈喪われた恋人〉をめぐる冒険がはじまる。
三人目のガール・フレンド、直子、「耳」の女の子、革命家と結婚したクラスメイト、ユミヨシさん……。小説を横断して何度も反復され輻輳する〈喪われた恋人〉の謎。村上春樹が巧妙に忍ばせた《鎮魂》の技法を読み解く。
【目次】
はじめに
第一章 『風の歌を聴け』と《虚偽》の詩学
――ホワイト・クリスマス、カポーティ、雲雀の舞い唄(フライト・ソング)
第二章 『1973年のピンボール』と《連想》の詩学
――双子のトレーナー、配電盤のお葬式、カントの『純粋理性批判』
第三章 『羊をめぐる冒険』と《数字》の詩学
――午前8時25分、妻のスリップ、最後に残された五十メートルの砂浜
断 章 『辺境・近境』と《デート》の詩学
――直子の関西弁、アンリ・シャルパンティエ、958,816枚目のピザ
第四章 『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』と《転換》の詩学
――天上で輝く星、岸に打ち寄せる海、革命家と結婚したクラスメイト
第五章 『ノルウェイの森』と《対極》の詩学
――多くの祭り(フエト)のために、フランス語の動詞表、ブラームス交響曲第四番
第六章 『ダンス・ダンス・ダンス』と《進化》の詩学
――海に沈むマセラティ、レイ・チャールズの歌声、ユミヨシさんの耳
あとがき
[著者] 小島基洋(こじま・もとひろ)
1975年愛知県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。ダブリン大学修士課程修了。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。専門は英文学・アイルランド文学。札幌大学外国語学部専任講師、愛知大学文学部准教授を経て、現在、京都大学大学院人間・環境学研究科准教授。著書に『ジョイス探検』(ミネルヴァ書房)がある。