定価4,070円(本体3,700円)
発売日2017年6月22日
ISBN978-4-7917-7000-7
言葉に秘められた力。人類はその核心にいかにして触れようとしたか。
なぜ人は言葉に魅せられるのか。人は言葉とどのように向き合ってきたか。そもそも「ことば」とは何か。言語論や記号論をはるかに超えて、その思想的・宗教的意義を歴史的にとらえたとき、永々と人びとが描き続けた、言葉をめぐる一大曼荼羅が浮かび上がる。思想史の空隙を埋める画期の書にして、著者畢生の大作。
【目次】
はじめに
序章 人類文化と言語
第一節 問題の所在
第二節 声音の力
第三節 耳を持った生命
第四節 言葉の力と宗教
第五節 二十世紀の言語理論
第六節 言語の多次元性ないし多層性
第一部 言霊思想の思想史的考察
はじめに――第一部の論点
第一章 原像としての「言霊」と「真言」
第二章 宗教的言語意識の歴史的展開
第一節 言語生命観
第二節 言語定型観
第三節 声字実相観
第四節 口唱行力観
第五節 和歌即陀羅尼観
第六節 声音法則観
第三章 冨士谷御杖の言霊論――言霊倒語説を中心として
第四章 山口志道の言霊論――『水穂伝』を中心として
第五章 中村孝道の言霊論――『言霊或問』と『言霊真洲鏡』を中心として
第六章 平田篤胤の言霊論――『古史徴』と『古史本辞経』を中心として
第七章 大石凝真素美の言霊論――『大日本言霊』を中心として
第八章 出口王仁三郎および大本の言霊論
第九章 川面凡児の言霊論
第十章 友清歓真の言霊論
第十一章 岡田茂吉の言霊論
第十二章 折口信夫の言霊論
第十三章 第一部のまとめ――言霊思想の特質
第二部 言霊思想の比較宗教学的考察
はじめに――第二部の論点
第一章 宗教言語と日常言語
第一節 原理論的問題
第二節 類型論的問題
第三節 新宗教の宗教言語――大本における言霊宇宙論の展開
第二章 記号論と言霊論
第一節 言葉の起源と耳
第二節 「聴く」ことの身体性
第三節 「聴く」ことの行為性
第四節 記号論と言霊論
第三章 言語遊戯と言霊思想の分析
第一節 言語遊戯呪術としての言霊思想
第二節 言語遊戯の宗教的表出――新宗教の場合
第三節 言語遊戯の意味論
第四章 第二部のまとめ
終章 まとめと今後の課題
補章 詩と宗教と哲学の間、あるいは言語と身心変容技法
第一節 詩と宗教と哲学の間
第二節 身心変容技法としての詩と言語
注
あとがき
参考文献
索引
[著者] 鎌田東二(かまた・とうじ)
一九五一年徳島県生まれ。國學院大學文学部哲学科卒、同大学院神道学専攻博士課程単位取得満期退学。岡山大学大学院医歯学総合研究科社会環境生命科学専攻博士課程単位取得退学。現在、上智大学グリーフケア研究所特任教授。放送大学客員教授。京都大学名誉教授。京都伝統文化の森推進協議会会長。博士(文学)。専門とする領野は宗教哲学、比較文明学、民俗学、日本思想史、人体科学など多岐にわたり、縦横無尽に学問領域を行き来し、独自のあたらしい観点から多様な研究を打ちたてつづけている。石笛・横笛・法螺貝奏者。神道ソングライター。フリーランス神主。著書に、『神と仏の精神史』(春秋社)、『神界のフィールドワーク』(青弓社)、『翁童論』(新曜社)、『謎のサルタヒコ』(創元社)、『宗教と霊性』(角川選書)、『超訳 古事記』(ミシマ社)、『神と仏の出逢う国』(角川学芸出版)、『歌と宗教』(ポプラ社)、『世直しの思想』(春秋社)、『世阿弥』(青土社)など多数。