定価1,760円(本体1,600円)
発売日2017年6月12日
ISBN978-4-7917-1347-9
築地市場とは何であるかを、日本人はまだ知らない。豊洲新市場への移転によって日本人が何を失うことになるのか、そのことを知らされないままに、築地市場は政治に翻弄されている。
本特集は世界の知性を結集して、築地市場の内蔵する驚くほどに豊かな「富」を明らかにする。ジャーナリズムよって語られることのない真実を多面的に解き明かすことによって、思想がメディア政治に立ち向かう、現代の稀有の試みがここにある。
味覚学(ガストロノミー)、人類学、考古学、流通経済学、建築史学、日本文化史学等の知を総結集して、来るべき「築地学」を構想する。
責任編集・中沢新一
○ 巻頭言
○ essay
築地を訪ねて40年 / テオドル・ベスター (安田和弘=訳)
築地という場所 / 森まゆみ
築地、わが思い出の味の街 / 水谷八重子
市場と本願寺が並ぶ素敵な街 / 中野翠
築地市場 モダン・ムーブメントの中で! / 兼松絋一郎
○ 築地市場はどんな場所か?
銀座と築地 ―都市の中の〝半島性〟 / 藤森照信
築地―驚きの職人技と人間模様 / 弘理子
築地アースダイバー / 中沢新一+深澤晃平
○ dialogue/polylogue
[徹底討議・その1]
「みんなの市場」をめざす / 伊東豊雄×中沢新一
[インタビュー]
天才的な築地市場 / 中澤誠
[徹底討議・その2]
夢にあふれた近代建築――『東京市中央卸売市場築地本場・建築図集』を読む / 伊東豊雄×中沢新一
築地の女将は黙っていない――男だけに任せられない / 築地女将さん会
○ 市場の魅力とは?
市場について / C・レヴィ=ストロース(大橋保夫=訳)
築地市場の「富」 / 中沢新一
○ 食の人類学
築地―和食の聖域 / レジス・アルノー (大久保ゆう=訳)
可食性の創発 ――築地市場と食の人類学 / 石倉敏明
○ 築地の聖性
移民漁民と水神信仰 / 畑中章宏
異界としての築地 / 篠原雅武
○ 都市と市場
築地市場の豊洲移転問題について / 宇都宮健児
築地から都市を考える / 森山高至
築地市場の役割と存続の必要性 / 三国英実
○ renovation
築地市場改修案 / 竹内昌義
○ visual
『築地魚河岸ひとの町』より / 本橋成一