定価4,180円(本体3,800円)
発売日2017年5月24日
ISBN978-4-7917-6991-9
歴史的にも重要な「最初の聖書」。本邦初訳。
都エルサレムの陥落、バビロンへの捕囚、異郷の地での希望なき生活。ユダ王国に住む者たちを襲った民族的危機を前に、預言者エレミヤは「主の言葉」と信じたものを語り続けた。ヘブライ語版より1000年以上も古いギリシア語版テクストを原典に忠実に翻訳。詳細な解説を付した決定版。
【目次】
凡例
はじめに
第1章 前置き/エレミヤ、召命を受ける/何をおまえは見るのか?/おまえの使命は……
第2章 イスラエルは主にとって聖なるもの/背き/わたしはおまえたちと争う/二つの悪事/イスラエルの悪と苦しみ/おまえの驕りと穢れ/おまえたちは木や岩石に向かって……/背信の理由は
第3章 おまえは淫婦/姦淫の姉妹イスラエルとユダ/イスラエルよ、わたしに立ち帰るのだ/シオンへの帰還/裏切りと立ち帰り
第4章 イスラエルよ、わたしのもとに立ち帰るのだ/ユダで告げるのだ/軍団は突然やって来る/全地が荒らし尽くされる/シオンの娘の最期
第5章 不義と背信への主の報復/主を否む者にたいしては/わたしは遠隔の地から一つの民族を導き上らせる/おまえたちはわたしを畏怖しないのか?/欺きで肥え太る者たち
第6章 シオンへの警告/平安などはどこにもない/彼らはわが律法を斥けた/北から敵がやって来る/彼らは不良品の銀
第7章 わたしは神殿を破壊する/執り成しの祈りをしてはならない/この民はわたしの訓戒を受け入れなかった/幼児犠牲
第8章 そのときになれば/鳥でさえ自分の寝ぐらに戻る/書記たちは偽りの尖筆で……/なぜ拱手傍観しているのか?/わたしの目が涙の泉であったならば
第9章 荒れ野に宿があれば/誰がこの事態を理解できるのか/女たちに嘆きの歌をうたわせよ/誇るならただこのことだけを/心に割礼を受けていない者
第10章 空しいのは偶像、信実なのは主/この地に住む者たちは主の庇護から放り出される/諸民族が主を知るようになる/主よ、わたしどもを懲らしめて下さい
第11章 契約の破棄と執り成しの禁止/なぜわたしの家で忌むべき物をつくったのだ?/エレミヤ、主に訴える
第12章 なぜ不信仰の者たちが栄えるのか/相続の地はハイエナの洞窟か?/隣国の邪悪な者たちについて
第13章 おまえたちは役立たずの腰帯のようなものだ/わたしが強い酒で満たしたあと……/傲り高ぶらないように/王や権力ある者たちへ言うのだ/豹がその斑点を変えられるならば
第14章 日照り続きと犯した罪の告白/事態好転の祈りをめぐって/偽りの預言者たちは滅びる/神を待ち望む
第15章 たとえモーセとサムエルが執り成しても/わたしは四つのもので復讐する/わたしはこれ以上容赦できない/民と争う者/神は欺くお方なのか?
第16章 わたしは葬儀と婚礼を絶やす/おまえたちの咎は何か、罪は何か/捕囚からの帰還/わたしは咎と罪には倍する報復をする/諸民族が主を知るようになる
第17章 呪われし者の末路は/祝福されし者は/神は人間の心を知り尽くす/狼狽えるのがわたしではないように/安息日の聖別
第18章 陶器の破壊とつくり直し/イスラエルの背きと滅び/エレミヤにたいする謀りごと/主よ、復讐して下さい
第19章 わたしは壷を砕くように都を粉砕する
第20章 エレミヤ、パシュフルに神の定めを告げる/わたしは惑わされました/わたしが生まれた日、それは呪いの日だ
第21章 ゼデキヤ王の問いかけ/ユダの王の家について/わたしは立ち向う
第22章 公正と正義を行うのだ/王は囚われの身として連れられて行く/王の死を悼む者はいない/若いころからの道/王イェコニアスとその子孫が栄えることはない
第23章 一本の正しい若枝/預言者も祭司も穢れている/とんでもない預言者たち/自分の心の思いを語る預言者たち/偽預言者たちは夢や幻を語る/おまえたちが主の託宣である
第24章 二つの籠の無花果のたとえ
第25章 二三年間に及ぶエレミヤの預言活動
第26章 エジプトは辱められる/エジプトは撃たれる/エジプトへの最後の託宣/イスラエルの帰還
第27章 バビロンの陥落について/バビロンにたいする主の復讐/傲慢なバビロンは……/バビロンへの攻撃
第28章 主はイスラエルもユダも見捨ててはいない/バビロンへの復讐/バビロンへの報復/主は諸民族を召集される/バビロンに北から荒らすものが襲来する/その日、偽りの神々は罰せられる/主はバビロンに報復される/バビロンは破壊される/エレミヤ、セラヤに語らせる
第29章 異部族の者たちについての託宣/イドゥマイアにたいする主の謀りごと
第30章 アンモン人への託宣/アラビアへの託宣/ダマスコへの託宣
第31章 モアブへの託宣/モアブは辱められる/驕り高ぶったモアブ/モアブへ下される罰
第32章 主の憤りの葡萄酒
第33章 主の言葉、エレミヤに臨む/エレミヤ、捕縛される/祭司たち、エレミヤの処刑をもとめる/エレミヤ、抗弁する/高官たち、エレミヤを擁護する/預言者ウリヤ、処刑される
第34章 バビロン王の軛/主は偽預言者たちを遣わしはしなかった
第35章 エレミヤ、ハナニヤと対決する/鉄製の首枷とハナニヤの死
第36章 捕囚の民に宛てたエレミヤの書簡/偽預言者シェマヤとの対立
第37章 エルサレムへの帰還の予告/ヤコブが体験する産みの苦しみ/その日には/おまえの傷は癒やされる/ヤコブの再興/イスラエルは回復される
第38章 わが愛は未来永劫に続く/喜びの帰還/これから受ける主の恵みについて/ラケルの嘆きと主の憐れみ/娘イスラエルの帰還/わたしは夢を見た/種を播く日がやって来る/熟していない葡萄を食べて……/新しい契約が結ばれる日がやって来る/創造のときの定め/エルサレムの再建と聖別
第39章 エレミヤ、拘禁される/エレミヤ、故郷アナトテで畑を購入する/エレミヤ、主に祈る/過去の裁きをめぐって/主の応答
第40章 その日には喜びの声が再び
第41章 ゼデキヤ王に向けられた主の言葉/契約を破ればどうなるか
第42章 レカブ人の忠誠
第43章 エレミヤ、主の言葉を書き留めるよう命じられる/巻物の朗読とそれへの反応/王、パピルスの巻物を焼く/エレミヤ、主の言葉を再び口述する
第44章 ゼデキヤ、王になり、エレミヤのもとへ人を遣わす/エレミヤ、投獄される/王ゼデキヤの問いかけとエレミヤの願い
第45章 エレミヤ、穴に投げ込まれる/エレミヤ、泥土の穴から吊り上げられる/エレミヤ、王に召し出される
第46章 エルサレムの陥落/エレミヤ、監視の中庭から連れ出される/アブデメレクは救われる
第47章 親衛隊長、エレミヤを釈放する/指揮官たち、ゲダルヤの任命を聞く/ゲダルヤ、暗殺計画を告げられる
第48章 ゲダルヤ、暗殺される/イシュマエル、主の家へ向かう者たちを襲う/ヨハナンたち、イシュマエルの悪事を知る
第49章 軍勢の指揮官たち、エレミヤに嘆願する/エレミヤ、主の言葉を伝える
第50章 軍の指揮官や民、エジプト行きを強行する/大きな石をファラオの屋敷の玄関口に
第51章 エジプトに住むユダヤ人へ下される審判について/民の中の男や女たちの反論/エレミヤの最後の預言/エレミヤがバルクに語った言葉
第52章 ゼデキヤ、王になる/エルサレムの陥落とゼデキヤの運命/主の家や王の家が焼かれる/カルデア人たち、主の家で略奪を働く/親衛隊長、祭司長たちを連れ去る/バビロンの王、彼らを処刑する/王ヨーアキム、獄から出される
解説 ギリシア語エレミヤ書について
あとがきに代えて
資料
索引
[訳者] 秦剛平(はた ごうへい)
多摩美術大学名誉教授。国際基督教大学卒、京都大学大学院、ドロプシー大学大学院(フルブライト、Ph.D)を卒業。ペンシルヴァニア大学大学院上級研究員、オックスフォード大学客員教授(1999‐2000 年)、同大学客員研究員(2001 年以降)、現在ケンブリッジ大学(クレア・ホール)フェロー終身会員、(ウォルフソン・コレッジ)フェロー終身会員、イェール大学大学院客員研究員。『七十人訳ギリシア語聖書』のモーセ五書をはじめて邦訳した。また『七十人訳ギリシア語聖書 イザヤ書』の本邦初訳も行っている。そのほかのおもな著書に『旧約聖書を美術で読む』『新約聖書を美術で読む』『反ユダヤ主義を美術で読む』『天使と悪魔』(いずれも、青土社)、『美術で読み解く旧約聖書の真実』『美術で読み解く新約聖書の真実』『美術で読み解く聖母マリアとキリスト教伝説』『美術で読み解く聖人伝説』(いずれも、ちくま学芸文庫)ほか多数。訳書にヨセフス『ユダヤ古代誌』(全六巻、ちくま学芸文庫)、J・C・ヴァンダーカム『死海文書のすべて』(青土社)など多数。