ナポレオンと神

竹下節子 著

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ナポレオンと神

定価2,860円(本体2,600円)

発売日2016年11月11日

ISBN978-4-7917-6949-0

世界は驚愕し、民衆は夢を抱いた。
夢を現実化する革命児か、はたまた新たな抑圧を企てる独裁者か。神たろうと世界史の中心舞台に躍り出た、ナポレオンの叡知と野心。権力・宗教間の苛烈な暗闘の淵から浮上する、ヨーロッパ精神の核心を活写する。思想史研究の新地平。

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【目次】

はじめに

第1部 ナポレオンと神――創造者か支配者か

1. ヨーロッパ精神世界のナポレオン

ナポレオンが変えたもの/ナポレオンはクリエーターである

2. ナポレオンとローマ教皇
ノートルダム大聖堂での戴冠式/フェッシュ枢機卿/ピウス七世/ピウス七世の改革/和親条約/ナポレオンへの共感/自己神格化の戦略/皇帝に抵抗するローマ教皇/全面対決の始まり/教皇という名の神の失墜

3. ナポレオンの宗教観
聖ナポレオン/ヴァチカン文書の運命/ナポレオンの公教要理/コルシカの霊性と啓蒙思想/ナポレオンと聖母/カトリック普遍主義とナポレオン/ナポレオンの護教論/イエスの神性について/ナポレオンの信仰の真実/信仰の成熟

4. ナポレオンと一神教
ナポレオンとイスラム/啓蒙のシンボルとしての一神教/アブダラ・ムヌーの冒険/ナポレオンとユダヤ教/ユダヤ人兵士/ユダヤ最高法院

5. ナポレオンの「十字架の道」
ナポレオン・コンプレックス/「神」の凋落/「神」は復活するか/セント・ヘレナ島/島のナポレオン/「神」は誕生するか/遺体の確認/アンヴァリッド(廃兵院)の墓所/聖遺物ビジネス

 

第2部 そして、神になる

1. ナポレオンと二つの教会

和親条約の意味/立憲派聖職者/二つの教会/守旧派の非宣誓派教会/教会の役割/修道会の再生

2. 教皇と皇帝と王
皇帝の聖性/王権の聖性/教皇派の主張とナポレオン

3. 「人が神になる」可能性とキリスト教
神が受肉することの意味/聖人から神へ/ナポレオンがピウス七世に勝てなかった本当の理由

4. 最後のレトリック
フォンテーヌブローの別れ/削除されたもの/「後三年」と「裏切り」/フランス王への忠誠/レトリックの変遷/百日天下のディスクール/プロメテウス

5. ナポレオン伝説
百日天下の意味/復活と昇天/神話は続く/ナポレオンとド・ゴール将軍

 

第3部 ナポレオンの聖蹟

1. ナポレオンと秘教

秘教とプラグマティズム/ナポレオンとフリーメイスン/政治と陰謀と秘密結社

2. ナポレオンとエジプトの神々
カイロの共和国祭/エジプト遠征/宗教政策/エジプトとフランス/学術調査/ナポレオンとエジプト

3. 「宇宙の大建築家」ナポレオン
パンテオン(汎神殿)/様々の肖像/ドームの天井絵/バスティーユ広場/ヴァンドーム広場の記念柱/凱旋門

4. ナポレオンとヒトラー
アンヴァリッドのナポレオン/ヒトラーの訪問/父と子/ナポレオン三世/父の帰還と子の帰還/英雄か独裁者か

5. ナポレオンと日本人
 

主要文献一覧
ナポレオン 略年表

おわりに

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[著者] 竹下節子(たけした せつこ)

比較文化史家・バロック音楽演奏者。東京大学大学院比較文学比較文化修士課程修了。同博士課程、パリ大学比較文学博士課程を経て、高等研究所でカトリック史、エゾテリズム史を修める。フランス在住。著書に、『聖女伝』、『キリスト教の真実』、『ジャンヌ・ダルク』、『聖母マリア』、『フリーメイスン』、『からくり人形の夢』、『ローマ法王』、『レオナルド・ダ・ヴィンチ 伝説の虚実』、『無神論』、『ユダ』、『キリスト教の謎』ほか多数。