定価1,980円(本体予価1,800円)
発売日2026年9月28日
ISBN978-4-7917-0482-8
『わたしの知らない子どもたち』10月16日公開!
5年ぶりの最新作『わたしの知らない子どもたち』は、前作『すばらしき世界』(2020)の制作を通して向き合うこととなった戦後孤児たちの過酷な運命を描く作品である。両作で描かれる断絶や分断は決して切り離されたものではなく、地続きにある。社会のなかで原因として名指され、ときに愚か者の烙印を押されてきた人びとの細部へと粘り強く目を向ける西川美和のまなざしを辿り、その映画を織りなす視線の網目をほどいていく。

特集*西川美和――『ゆれる』『永い言い訳』『すばらしき世界』、そして『わたしの知らない子どもたち』へ
❖対談
足場の狭さを知っている / 西川美和×李相日
❖西川美和の新境地へ
トリックスターとしての孤児たち / 北小路隆志
楕円の時間、偽なるものの諸相——西川美和『わたしの知らない子どもたち』 / 紙屋牧子
誰もが子どもだったのに誰も子どものことを知らない / 信田さよ子
❖インタビュー〈1〉
監督の領分 / 西川美和(聞き手=金原由佳)
❖インタビュー〈2〉
残響と予兆 / 原摩利彦
❖音楽映画としての『わたしの知らない子どもたち』
西川美和にまつわるxについて——『わたしの知らない子どもたち』の音楽を中心に / 長門洋平
『わたしの知らない子どもたち』における音と自己、においと記憶 / 酒井朋子
❖監督・西川美和
門出のとき / 孫明雅
『わたしの知らない子どもたち』の横須賀ロケと、「チンジャラ」について / 杉山一夫
❖マンガ
わたしの知らない子どもたち / 永美太郎
❖魅力的な男(優)たち
喪失のナルシシズムを炙り出したら、ズルさと好いたらしさが漏れてきた / 西森路代
裏の顔のない偽医者——『ディア・ドクター』における笑福亭鶴瓶の演技 / 北村匡平
役に立たざる男の老い——現代やくざ映画『すばらしき世界』における役所広司 / 久保豊
ケアラーとしての無責任男——『蛇イチゴ』を中心に / 角尾宣信
❖アンケート
わたしと西川美和 / 役所広司・宮迫博之・本木雅弘・オダギリジョー
❖揺蕩う相関関係
水辺の男たち——西川美和『ゆれる』のクィアネス / 森井良
『夢売るふたり』論——口に出されなかった妻の「夢」 / 児玉美月
「駆込み訴え」るユダ——ユートピアとサタン的なものの狭間、その感触 / 安田真由子
❖ 作家・西川美和
小説『永い言い訳』のこと / 櫻田智也
言いそびれた「ワンプリーズ」 / 伊藤聡
我々はカープなのかもしれない / サンキュータツオ
❖視線の表裏
「見ること」と「見ないこと」をめぐる暴力性——『すばらしき世界』に描かれる障害とまなざし / 塙幸枝
西川美和作品の性描写と限定的なエージェンシー / 小田視希
物語の背中——小説家としての西川美和 / 田村美由紀
❖資料
西川美和フィルモグラフィ / 森直人
❖忘れられぬ人々*60
故旧哀傷・中村まき / 中村稔
❖物語を食べる*52
火を運ぶ父と子が紡ぐ物語 / 赤坂憲雄
❖詩
一枚の絵 / 砂東かさね
❖今月の作品
祁答院刻・樋兪・こうちちか・ペ子亞 / 選=高橋順子
❖われ発見せり
粉層 / 富田七海
表紙・目次・扉……北岡誠吾
表紙写真……Leslie Zhang