定価2,860円(本体2,600円)
発売日2026年8月26日
ISBN978-4-7917-7804-1
分解の豊かな輪郭を捉える9つの対話——。
物質と物質がバラバラになり、腐敗し、その過程で強いにおいや汚濁が生じる。だがそれはやがて結合し、再構成されるドラスティックな可能性を秘めてもいる。「壊れて戻る」分解のメカニズムを敷衍し、食や農、公害の歴史を顧みながら自然環境を超えた人間社会のありようを照射する必読の対談集。
【対談者】篠原雅武・石牟礼道子・小泉武夫・津村記久子・山内志朗・斎藤幸平・阿古真理・梅本政隆×原口悠・山内明美

[目次]
はしがき
第一章 生活の分解のために ×篠原雅武
ファシズムの根源/「衰微」と「欠乏」/都市を「分解」する/社会の「積み木」モデル/生態的な未来へ
第二章 いのち交わる道へ ×石牟礼道子
農薬と化学肥料の世界で/農家に生まれて、飢餓を思う/方言を書く/からいものあたたかさ、よもぎの香り/近代とは何か/心の声を歌いたい
第三章 発酵食から考える新しい〈エコロジー〉 ×小泉武夫
とにかく書く、とにかく食べる/食はエロス/生身の発酵臭/発酵食と平和/発酵革命とは何か/とにかく聞く、とにかく待つ/雑多な「日本」/微生物と共に考える生命観
第四章 とにかく、「分解」が面白い! ×津村記久子
自分が「サイクル」の中にいるという平等性/壊しやすいこと、 直しやすいこと
第五章 人間は生きた土である——分解と混合の哲学 ×山内志朗
植物の生と浸り/「食べる」ことの意味/土へのまなざし
第六章 資本主義のオルタナティブ 農に第三の道あり ×斎藤幸平
晩年のマルクスはエコロジスト⁉/収奪型ビジネスは人間も使い捨てる/無償の給食から学ぶこと/「縁食」が持つ可能性/釜ヶ崎「おとな食堂」の試み/種にコモンを取り戻せ/胃袋には限界がある/消費者運動に意味はあるか/社会科学的な指標と人文学的な潤い
第七章 ケアの家政学 ×阿古真理
コロナ禍で家事はどう変わったか?/家庭科から暮らしを考える/家事の歴史を描くこと/ケアと家政/暮らしをとりまくケア/「愛」と労働のジレンマ/働くことと、暮らすこと
第八章 「分解」から捉え直す社会 ×梅本政隆×原口悠
熟すことは豊かになること/社会はディペンデントでできている/食べることは信じること/不安と不気味はステキ
第九章 飢えという人災を引き起こさないために——農と食の思想と実践 ×山内明美
米と育つ/〈百姓仕事〉とプランテーション/飢餓前夜

[著者]
藤原辰史(ふじはら・たつし)
1976年生まれ。京都大学人文科学研究所教授。専門は農業史、食の思想史。著書に『ナチス・ドイツの有機農業』(柏書房、2005年→新装版:2012年)、『カブラの冬』(人文書院、2011年)、『ナチスのキッチン』(水声社、2012年→決定版:共和国、2016年)、『稲の大東亜共栄圏』(吉川弘文館、2012年)、『食べること考えること』(共和国、2014年)、『トラクターの世界史』(中公新書、2017年)、『戦争と農業』(集英社インターナショナル新書、2017年)、『給食の歴史』(岩波新書、2018年)、『食べるとはどういうことか』(農山漁村文化協会、2019年)、『分解の哲学』(青土社、2019年)、『縁食論』(ミシマ社、2020年)、『農の原理の史的研究』(創元社、2021年)、『歴史の屑拾い』(講談社、2022年)、『植物考』(生きのびるブックス、2022年)、『食権力の現代史』(人文書院、2025年)、『生類の思想』(かたばみ書房、2025年)など多数。