定価2,420円(本体2,200円)
発売日2026年6月26日
ISBN978-4-7917-7789-1
誰もが知る詩人の、誰も知らない家族のはなし
「I was born」「夕焼け」「祝婚歌」——誰にでもわかる言葉で日常の一コマをあざやかに切り取った詩の数々は、どのようにして生まれてきたのか。その発生の現場をすぐそばで見てきた娘の視点から、まっすぐに詩と向き合い、あたたかな眼差しで家族を見守りつづけた詩人の生涯をたどる。

その日も娘は理由もわからず泣き続け、やがて泣き疲れて眠りについた。静かに寝息を立てて眠る娘をじっと眺めているときに、私はどこかでこの風景を見たような気がした。そしてふと本棚から詩集を抜き出し、「奈々子に」のページを開いた。今まで感じたことのない感覚が一気に噴き出し、目頭が熱くなりそして涙が勝手に流れ落ちた。親という立場になって初めて、私に託した弘の思いが見えたような気がした。(本文より)

はじめに
第一章 少年時代
第二章 いくつかの運命
第三章 詩人としてのスタート
第四章 労働者としての詩
第五章 筆で生きる覚悟
第六章 狭山に移り住んで
第七章 詩人としての円熟期
第八章 老いとともに生きる
終章 父と娘、点描
あとがき――詩「奈々子に」とのつきあい

[著者] 久保田奈々子(くぼた・ななこ)
1954 年、吉野弘・喜美子の長女として生まれる。武蔵野美術短期大学美術科、東京デザイナー学院インテリア学科卒業。2015 年から吉野弘に関する講演をはじめる。後に講演の中に朗読を挟むようになり、2019 年から吉野弘の詩の朗読を本格的にはじめる。近年は朗読の会を主宰し、定期的に朗読会を行うほか、即興的なギター演奏と朗読によるライブ活動も実施している。