定価2,420円(本体2,200円)
発売日2026年5月27日
ISBN978-4-7917-1498-8
多様な〈声〉をつなげていくために
2010年代後半以降、#MeTooなどの動きとともに盛り上がりをみせたフェミニズム。その歩みは同時に、絶えざる分断と簒奪に向き合い抗うことを余儀なくされてきた。世界がますます混迷を深めるいま、進むべき道はどこにあるのか。フェミニズムから、フェミニズムとともに、フェミニズムへと、いま何が問われねばならないのか。本特集では多様な領域を超えてその理論と実践の現在地を一望する。

【目次】
総特集*フェミニズムから問う
【討議Ⅰ】
二〇二〇年代フェミニズムの諸問題をひらく / 河野真太郎+高井ゆと里+田中東子
【分断との対峙】
買春処罰と新廃止主義 / 青山薫
職業差別はいかに正当化されたのか――フェミニズムから再考する「セックスワークにも給付金を」訴訟 / 宮田りりぃ
世代論を超えて――フェミニズムとクィアの歴史におけるノンバイナリーの探求 / 山田秀頌
声を届けるために――インターネット空間における性暴力言説を考える / 牧野雅子
韓国における「フェミニズム」の現在地――フェミニズムの大衆化と「ジェンダー葛藤」の狭間で / 野崎文香
【政治と生の現在】
家父長制の敵は女ではない、フェミニストである――「日本初の女性首相誕生」から考える男性集団のポリティクスと対抗的パワー・フェミニズムの可能性 / 海妻径子
高市早苗、日本的フェモナショナリズム、そしてノームコア排外主義 / 河野真太郎
ネオリベラル・フェミニズムを利用するファシズム / 菊地夏野
「作り置き」料理本における時間不安とポストフェミニズム / 長山智香子
「自分の身体を愛する」ためのスケープゴート――ボディ・ポジティヴな「有害な美の基準」批判のフェミニズム精神分析批評 / 大木龍之介
【討議Ⅱ】
戦争と資本主義に抵抗するケアとフェミニズム / 菊地夏野+ナンシー・フレイザー(訳=長山智香子)
【問いとしての「ケア」】
ケアフェティシズムの批判に向けて――社会的再生産フェミニズムとケアの倫理 / サラ・R・ファリス(訳・解題=中山佳子)
世界を裏返す――アウトサイダー・フェミニズムのための試論 / 伊吹美貴子
セルマ・ジェームズの思想と実践――「家事労働に賃金を」運動から「グローバルウィメンズストライキ」へ / 堅田香緒里
孤独を背負い、「やさしさ」を育む――田中美津のリブ・コレクティブ論 / 高橋彩葉
メルヘンの中のフェミニズム――河野信子『隠れ里物語』をめぐって / 渡邊英理
【コレクティブからの声】
コレクティブは乱調にあり / A3BC
光暈は蔦を纏う / Multiple Spirits
奔放な生を祝うために / 奔女会
二人で本を売り、ゆるく繋がる / シスターフッド書店Kanin
【惑星を包む連帯】
社会的再生産のファシズム化 / ベロニカ・ガーゴ(訳=中村峻太郎、解題=菊地夏野)
戦場とされる身体を闘う反戦フェミニズムの理路とリズム / 阿部小涼
フェミニサイドとは何か? / 植民地主義的資本主義における「女性に対する戦争」 / 須納瀬淳
フランス語圏エコフェミニズムの再生産論としての再編――ドボンヌからプリュヴォへ / ファヨル入江容子
【実践と思考の未来】
冠つきフェミニズム批判再考――論争の時代・うらがえ史 / 牧野良成
「もっと聞いていたい」の教育学――新自由主義を超え自己を拡張する学びの倫理 / 虎岩朋加
叩き台としてのパターナリズム / 佐々木梨花
ともにいるための方法 / ハラスメント被害者支援の実践 / 関優花