定価3,300円(本体3,000円)
発売日2025年12月26日
ISBN978-4-7917-7760-0
ベンヤミンの言語、芸術、歴史への問いを手がかりに、思想の新たな可能性を切り開く。
今に続く破局の経験から私たちは何を問い、何を思考することができるのか。途絶したベンヤミンの歩みを受け継ぎながら、瓦礫が積み重なる現代を正視する、危機に抗するための思想。

[目次]
序 章 天使の変貌──ベンヤミンにおける言語と歴史をめぐる思考の像
第一部 言語の死後の生へ──ベンヤミンの言語哲学
第一章 翻訳を哲学する──ベンヤミンの言語哲学から出発して
第二章 言語の死後の生へ──ベンヤミンの「翻訳者の課題」とその継承
第二部 破局の後の想像力──ベンヤミンとメディア
第三章 媒介する技術への転換──ベンヤミンの映画論と土本典昭の映画実践を手がかりに
第四章 形象の裂傷──ホロコーストの表象をめぐるフランスの議論が問いかけるもの
インテルメッツォ ポルボウへの旅
第三部 裂け目からよみがえるもの──ベンヤミンと芸術
第五章 立ちすくむ人の人間への問い──大江健三郎の『ヒロシマ・ノート』を読み続けるために
第六章 傷からの芸術──ヒロシマからの芸術が問いかけるもの
第四部 地獄の底からの歴史──ベンヤミンの歴史哲学
第七章 地獄からの出口へ──ベンヤミンの美的アナーキズム
第八章 地を這うものたちの歴史──断絶の記憶から
終 章 歩行からの思考──破局の後に生き残る思考
あとがき/事項索引/人名索引

[著者]柿木伸之(かきぎ・のぶゆき)
専門は美学、哲学。著書に『ヴァルター・ベンヤミン──闇を歩く批評』(岩波新書、2019年)、『断絶からの歴史──ベンヤミンの歴史哲学』(月曜社、2021年)、『燃エガラからの思考──記憶の交差路としての広島へ』(インパクト出版会、2022年)など、訳書にクリストフ・フリードリヒ・ハインレ『ハインレ詩文集』(月曜社、2025年)などがある。芸術に関する評論も手がける。西南学院大学国際文化学部教授。