定価2,420円(本体2,200円)
発売日2025年10月14日
ISBN978-4-7917-1488-9
2025年度下半期のNHK朝の連続ドラマ小説『ばけばけ』で話題!!
アイルランド人の父とギリシア人の母の間にうまれ、アメリカでジャーナリストととして活躍したのち、1890年に来日したラフカディオ・ハーン。松江・熊本・神戸・東京と居を移しながら、日本の風土や信仰世界などに目をこらし、また『怪談』に代表されるような再話文学をあらわして、その後の日本の文学や文化、さらには海外における仁保研究にも大きな影響を与えた。
今年の下半期のNHKの朝ドラでは、ハーンの妻である小泉セツをモデルとした主人公による『ばけばけ』の放送が予定されているように、多くの人たちを惹きつけてやまないラフカディオ・ハーン/小泉八雲をさまざまな角度からあらためて考える。
【目次】
総特集*ラフカディオ・ハーン/小泉八雲
ハーン/八雲へ
小泉凡 ハーンと〈つながり〉の文学――現代にもとめられるアニミズム的思考
池田雅之 小泉八雲がめざしたものとは何か
斎藤英喜 怪談・心霊・神道――怪談の深層にあるもの
福嶋亮大 日本・絶滅・世界文学――ハーンにおける怪奇性の思想
討議1
平藤喜久子×三浦佑之 ハーンの声に耳をすませる――見えないものや自分とは違うものとどう向き合うか
ハーン/八雲と出会う
東雅夫 妖怪と昆虫に魅せられた、永遠の放浪者・八雲
三成清香 ハーンと松江と小泉セツ
岩田重則 小泉八雲の墓――「田舎の淋しい小寺に埋めてください」
中島淑恵 ラフカディオ・ハーンの脳内宇宙――へるん文庫から見えてくるもの
ハーン/八雲が架橋するもの
平藤喜久子 神話学の辺境――ラフカディオ・ハーンの面影
西成彦 蟻の利他主義――ザッハー=マゾッホとハーン再考
大出敦 幻影の国――ラフカディオ・ハーンと祖霊崇拝
リンジー・モリソン ラフカディオ・ハーン、境界に生き
港千尋 ニュアンスについて――小泉八雲の色彩と効果
討議2
宇野邦一×兵藤裕己 近代が捨てたものが、ハーンのなかにはある――声・身体・物語
反響する声、受け継がれる言葉
三浦佑之 ラフカディオ・ハーンの古事記を読む
鵜野祐介 ラフカディオ・ハーン「日本のわらべ歌」を読む
兵藤裕己 声と伝承――「耳なし芳一の話」、あるいはヴァン・ゴッホとアルトー
宇野邦一 声とハーン
大島廣志 「幽霊滝の伝説」の伝播――書承文芸から口承文芸へ
ハーン/八雲のまなざしを考える
友常勉 「俗謡三つ」――ラフカディオ・ハーンと被差別民
茂木謙之介 「神聖天皇」と「象徴天皇」のあいだ――ラフカディオ・ハーンをめぐるメタヒストリー試論
ハーン/八雲の内奥
安藤礼二 母なる海の洞窟
山下久夫 小泉八雲のなかにある異界
渡勇輝 逆立ちする幻影――ラフカディオ・ハーンと神智学
石橋直樹 ハーンにおける横文字の”Hirata”――合成された「死者」の〈顔〉としての国学