哲学史にしおりをはさむ

熊野純彦 著

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哲学史にしおりをはさむ

定価2,860円(本体2,600円)

発売日2025年9月26日

ISBN978-4-7917-7735-8

テクストのてざわり、哲学者のおもざし
哲学の芽となる日常の経験、忘れられつつある哲学史のひとコマ、師や畏友との出逢い——。研究のなかから紡ぎだされ、折々の縁にむすばれたテクストから、読むことと書くことに生きてきた一人の哲学史家の横顔が浮かび上がる。

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[目次]

 

思考について ロボットと日常と哲学と

哲学者が悲しい顔をするとき

じぶんらしさはときに無責任で、不自由なもの

大人とは、遥かにとおい思いをいだく存在である

死なれる

哲学的思考とは何か

 

世界を摑むことば

選択ではない選択

文学部で学ぶとは

人文学の現状と将来・私見

 

レヴィナスを読む、ということ

いく度かのすれ違いの果てに ハイデガーとの出会いについて

哄笑するカント

懐旧談 ヘーゲル『精神現象学』新訳によせて

語学との付き合い、思い出すまま

 

シャツを着ることと、ダンスをすること 埴谷/吉本論争・前史

佐佐木信綱「県居の九月十三夜」 出逢いを描く物語

蓮田善明のことなど 『本居宣長』余滴

江藤淳と、漱石の〈夢〉

夭折した透明な精神

「あとがき」のあとで あるいは、太宰治と三島由紀夫

 

デュナミスという存在の次元

カントとヘーゲルのあいだ

ハイデガーとマルクス主義

問いの回帰と反復 循環、使用、享受

現象学とその外部 「現象学と弁証法」をめぐって

「論理と生命」の思考圏によせて 断影・昭和十年代の京都学派

西田の影のもとで 詩人哲学者の系譜について

 

記憶という思想 市村弘正という分野

いまだ到来しない世界へ

ヘーゲルよりもひろく、ヴェーバーよりも原理的に

中野敏男という意志

 

世界と他者を享受することへ 立岩真也『私的所有論』によせて

思想史家としての神崎繁

最後のマルクス 今村仁司『入門』を読む

未来への懐旧、異郷への郷愁 坂部哲学におけるエグゾティスムについて

ことばへの問い、世界への問い

 

哲学的テクストの翻訳によせて

 

あとがき

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[著者]熊野純彦(くまの・すみひこ)

1958年神奈川県生まれ。1981年東京大学文学部卒業。北海道大学、東北大学、東京大学の教員を経て、現在、放送大学東京文京学習センター所長。専攻は、倫理学・哲学史。主な著書に、『レヴィナス 移ろいゆくものへの視線」、『西洋哲学史』(以上、岩波書店)、『カント 美と倫理のはざまで』(講談社)、『マルクス 資本論の思考」(せりか書房)、『本居宜長』(作品社)など。訳書に、レヴィナス『全体性と無限』、ハイデガー『存在と時間』(以上、岩波書店)、カント『純粋理性批判』『実践理性批判』『判断力批判』(作品社)、ヘーゲル『精神現象学』(筑摩書房)など。