定本 柳田国男の発生

赤坂憲雄 著

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定本 柳田国男の発生

定価13,200円(本体12,000円)

発売日2025年8月27日

ISBN978-4-7917-7728-0

日本民俗学の巨人。
いまこそ、その思想の核心へ。

山に生きる人々、漂泊民と常民、海や島をめぐる膨大なテクストをかきわけ、柳田国男の思想の根源に迫る。現代を代表する民俗学者が巨人の思想に肉薄しようと、一〇年にわたる歩行と思索によって著した『山の精神史』『漂泊の精神史』『海の精神史』の三部作が、いま定本として甦る。
圧倒的な柳田国夫論

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[目次]

序章 柳田国男という方法

 

第Ⅰ部 山の精神史

はじめに

第一章 物語の闇・遠野にて

姥棄て/デンデラ野にて  山神/笛吹峠にて  河童/カッパ淵にて  肖像画/常堅寺にて

第二章 椎葉より

椎葉への旅  『後狩詞記』と『遠野物語』  二つの序文の蔭に  先住異民族説の抬頭  原像としての山人――「天狗の話」  原像としての山民――「山民の生活」

第三章 血と漂白

遠野三山を仰ぐ  山人史の構想  南方熊楠との交通  山人の滅びと血

第四章 天然の力

山人の血/辻川へ  『山の人生』/『故郷七十年』  山中の不思議その他  神隠しをめぐる諸問題  終楽章/最期の山人をめぐって」

第五章 山人その後

第二の故郷・布川へ  「山姥奇聞」をめぐって  境界を浸す山の人  時間的な異界としての山  山民と日本的なるもの  ふたたび、山人の血へ

第六章 山人の誕生

お山参詣/岩木山にて  喩としての山人の血  「幽冥談」/排除されたモノ  ハイネとの出会い  列島先住民論争  他界願望/経世済民

第七章 稲の風景

北の涯ての岬にて  稲の内部/外部  なつかしい移民史  二つの春のはざまに  制度としての稲/信仰としての稲

第八章 平地人と常民

稲のある風景/下北にて  平民・農民・平地人  陰画としての平地人  補集合としての常民  常民の歴史への意志  漂白の民/排除されたモノ

 

第Ⅱ部 漂白の精神史

はじめに

第一章 帰化の坐覡

イタコのいる風景  晩年からの眼差し  異人種説をめぐって  木地屋という物語  踊りの家筋

第二章 漂白人種

木地師の裔の村にて  美濃・越前の旅  漂白する坐覡たち

第三章 神の子孫

カミサマたちの霊場  巫女という階級  土着の形式と条件

第四章 日知と毛坊主

木地師の里を訪ねて  本願寺という問題  毛坊主とは何か  ヒジリから毛坊主へ  阿弥陀聖の起源  聖の根源にむけて  夙の者と境界  毛坊主と境の塚

第五章 算所の太夫

明日の遠野/物語のために  山荘太夫の原像  分類・異型・イエ筋  民俗学/農村生活誌

第六章 皇子流寓譚

マヨヒガ伝承を辿る  木地師と椀貸伝説  霊魂の宿りする杓子  木地屋の移住史  皇子流寓の口碑  史料としての伝説

第七章 零落する語り部

サンカの煙のゆく方  俗聖のいる風景  桂女の由緒書  移住文芸の力  一人称の自伝

第八章 オシラ遊び

遠野のオシラサマ  オシラサマをめぐる諸問題  転換/「オシラ神」三編  固有信仰のなかへ  家刀自/子ども/巫女  もうひとつのオシラサマ考へ

第九章 菅江真澄の旅へ

男鹿の旅  みいだされた常民史料  もうひとつの可能性のなかへ  白太夫の子孫

第一〇章 漂泊と定住 

沖縄、チョンダラーの村  漂泊の民と農の村  文化運搬と宗教の力  農村生活誌と民俗学のあいだ  可能性の鉱脈のなかへ  あらたな漂泊の精神史のために

 

第Ⅲ部 海の精神史

はじめに

第一章 山島から

伊良湖岬にて  「遊海島記」/出立の碑として  南への志向の芽生え  潟と島をめぐる考察  山島という可能性

第二章 同胞の島へ

パイパティローマ伝説  水をめぐる問題  消えゆく海部の事跡  世界苦と孤島苦  浦葵をめぐる物語  同胞の島からの言伝て  海上の道、その芽生え

第三章 植民と移民

合わせ火の島にて  ジュネーブ体験  移民と南方志向  沖縄という問題  南方研究の夜明け  島々の研究  フォークロアとエスノロジーとの婚約

第四章 『民俗』の時代

赤米・筏舟・高床式住居  死人の島/生人の島  海女部の歴史から  『民俗』/二つの相長屋住居  北の異族/南の同胞

第五章 北の異族

幻の「大島雑記」  「日本」という身体  山人への訣れ、その後  萌芽としての比較民俗学――明治・大正期のアイヌ像  断層、北の異族への訣れ――昭和期のアイヌ像  日本/沖縄/アイヌ

第六章 一国民俗学

青ヶ島への旅  南島談話会の周辺で  島の旅・海の旅  一国民俗学の誕生  外なる比較/内なる比較  沖縄の発見から  一国民俗学という受肉

第七章 大東亜民俗学

隠岐より還って  神楽のある野辺送り  採集手帖の方法  国語の統一とは何か  昔話のなかのアジア  朝鮮/民族結合と比較  大東亜民俗学という幻像  いくつかの転びの光景

第八章 花とイナウ

佐渡巡りの旅  ある民族誌の試み  山村・海村・離島  『海上の道』の前夜に  花/イナウのはざまに

第九章 海上の道

『炭焼日記』の季節  南東研究の再興  枢密顧問官の日々  海上の道という仮説  島々の史学のために  比較の学問の夜明け

第一〇章 遺言

宮古のフォークロア  最後の場所に立って

あとがき

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[著者] 赤坂憲雄(あかさか・のりお)

1953年、東京生まれ。民俗学者。『岡本太郎の見た日本』でドゥマゴ文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞(評論等部門)受賞。著書に『異人論序説』(ちくま学芸文庫)、『境界の発生』(講談社学術文庫)、『東北学/忘れられた東北』『岡本太郎の見た日本』『象徴天皇という物語』『排除の現象学』(岩波現代文庫)、『武蔵野をよむ』(岩波新書)、『性食考』『ナウシカ考』(岩波書店)、『民俗知は可能か』(春秋社)、『災間に生かされて』(亜紀書房)、『奴隷と家畜』『怪物たちの食卓』(青土社)など多数。