継続する植民地主義の思想史

中野敏男 著

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継続する植民地主義の思想史

定価3,960円(本体3,600円)

発売日2024年11月26日

ISBN978-4-7917-7685-6

過去の歴史を引き受け、未来の歴史をつくりだすために

「戦後八〇年」を迎える現在、いまもなお植民地主義は継続している――。近代から戦前―戦後を結ぶ独自の思想史を描き、暴力の歴史を掘り起こす。日本と東アジアの現在地を問う著者の集大成。

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[目次]

序章 継続する植民地主義を問題とする視角
はじめに―植民地主義の継続という問題
一 暴力の世紀――「冷戦」という語りが隠したもの
二 「戦後」に継続する植民地主義――日本の暴力の世紀
三 植民地主義の様態変化とそれを通した継続――思想史への問い

第一部 植民地主義の総力戦体制と合理性/主体性――合理主義と主体形成の隘路

第一章 植民地主義の変容と合理主義の行方――合理主義に拠る参与と抵抗の罠
はじめに―システム合理性への志向と植民地主義の変容
一 産業の合理化と植民地経済の計画――「満洲国」という経験
二 総力戦体制の合理的編成と革新官僚
三 参与する合理的な社会科学

第二章 植民地帝国の総力戦体制と主体的希求の隘路――三木清の弁証法と主体
はじめに―植民地主義の総力戦体制と「転向」という思想問題
一 方向転換と知識人の主体性
二 有機体説批判と主体の弁証法
三 ヒューマニズムから時務の論理へ
四 帝国の主体というファンタジー

第二部 詩人たちの戦時翼賛と戦後詩への継続

第三章 近代的主体への欲望と『暗愚な戦争』という記憶――高村光太郎の道程
はじめに――近代詩人=高村光太郎の「暗愚」
一 「自然」による救済の原構成――第一の危機と「智恵子」の聖化
二 神話を要求するモダニティ――第二の危機と「日本」の聖化
三 「暗愚」という悔恨とモダニズムの救済――第三の危機と「生命」の聖化
小括

第四章 戦後運動文化・サークル詩運動に継続する戦後経験――近藤東のモダニズム
はじめに――継続する詩運動のリーダー近藤東の記憶
一 戦後詩の場を開示する戦中詩
二 「勤労詩」という愛国の形
三 「戦後」への詩歌的翼賛
四 排除/隠蔽されていくもの
小括

第三部 「戦後言論」の生成と植民地主義の継続――岐路を精査する

第五章 戦後言説空間の生成と封印される植民地支配の記憶
はじめに――「国全体の価値の一八〇度転換」?
一 敗戦への「反省」、総力戦体制の遺産
二 ポツダム宣言の条件と天王星民主主義という思想
三 「八月革命」という神話――構成された断絶
四 加害の記憶の封印、民族の被害意識の再覚醒
五 「自由なる主体」と「ドレイ」――主体と反主体

第六章 戦後経済政策思想の合理主義と複合化する植民地主義
はじめに――有沢広巳の戦後の始動
一 「植民地帝国の敗戦後」という経済問題
二 戦後経済政策の始動と自立経済への課題
三 「もはや戦後ではない」という危機感とその解決――賠償特需
四 「開発独裁」と連携する植民地主義
五 技術革新の生産力と国際分業の植民地主義
六 原子力という袋小路――植民地主義に依存する経済成長主義の帰結

第四部 戦後革命の挫折/「アジア」への視座の罠

第七章 自閉していく戦後革命路線と植民地主義の忘却
はじめに―日本共産党の「戦後」を総括すること
一 金斗鎔の国際主義と日本共産党の責務
二 戦後革命路線の生成と帝国主義・植民地主義との対決回避
三 五五年の分かれ
四 正当化された「被害」の立場/忘却される植民地主義

第八章 「方法としてのアジア」の陥穽/主体を割るという対抗
はじめに――「アジア」への関心へ
一 「戦後」をいかに引き受けるか
二 アジア主義という陥穽
三 主体を割るという対抗

第五部 植民地主義を超克する道への模索

第九章 植民地主義を超克する民衆の出逢いを求めて
はじめに――「反復帰」という思想経験に学ぶ
一 「反復帰」という対決の形
二 共生の可能性を求めて――「集団自決」の経験から
三 植民地主義の記憶の分断に抗して――「重層する戦場と占領と復興」への視野
四 民衆における異集団との接触の経験
五 沖縄の移動と出逢いの経験に別の可能性を見る

終章
一 合理性と主体性という罠
二 植民地主義の様態変化と資本主義・社会主義の行方
三 植民地主義の「継続」を問う意味。「小さな民」の視点

 

あとがき

文献目録
索引

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[著者]中野敏男(なかの・としお)

1950年、東京都生まれ。東京大学大学院修了。茨城大学助教授、東京外国語大学教授などを経て、現在、東京外国語大学名誉教授。博士(文学)。専門は、社会理論・社会思想。おもな単著に、『近代法システムと批判』(弘文堂、1993年)、『大塚久雄と丸山眞男』(青土社、2001年)、『詩歌と戦争』(NHKブックス、2012年、日本詩人クラブ詩界賞受賞)、『マックス・ウェーバーと現代・増補版』(青弓社、2013年)、『ヴェーバー入門』(ちくま新書、2020年)などがある。また、主な共編著に『継続する植民地主義』(青弓社、2005年)、『沖縄の占領と日本の復興』(青弓社、2006年)、『歴史と責任』(青弓社、2008年)がある。