定価6,380円(本体5,800円)
発売日2024年9月26日
ISBN978-4-7917-7676-4
「異教(パガニスム)という言葉はあらゆる社会に対して突きつけられた挑戦状のような響きがする」(ジャン・ジュネ)
境界、外部、混成、非知、身体、権力、反歴史、イメージ、ヘテロトピア、非有機性……。半世紀にわたってさまざまなテーマをめぐり、スピノザ、ニーチェ、ドゥルーズなど、哲学の外の異端の哲学者の言葉に目を凝らしてきた著者。哲学の異教徒たろうとしてきた哲学者はいま何と対峙しているのか、その目に映るものとはなにか。その思索のすべてを編み上げた集大成。

[目次]
序 パガニスム、あるいは異教の明視
Ⅰ パガニスムの軌跡
パガニスムと「判決」(ジャン・ジュネ)
この世界で非現実とは、まだ罪なのだ(マルグリット・デュラス)
ディオニュソスのエコロジー(アルフォンソ・リンギス)
ある批評家の死(ベルナール・ラマルシュ゠ヴァデル)
凡庸の哲学、肉体の思想(小島信夫)
未来派から『弥勒』へ(稲垣足穂)
interlude*1 安息日には
Ⅱ 歴史と日本の曲率
西田幾三郎の「悲願」
歴史の暗部とロマネスク(渡邉一民/福永武彦)
アイデンティティと身体
国家あるいは「曲率」(内田隆三)
ペストとコロナのあいだ
Ⅲ ドゥルーズのラプソディ
映画のとてつもない時間――ドゥルーズを翻訳すること
脳の芸術、脳の政治へ
器官なき身体の過程
憎しみはリゾームを超えるか(アンドリュー・カルプ)
哲学の奇妙な闘い
Ⅳ 非有機的生のほうへ
哀れアルトー?――ソンタグ、デリダ、デカルト、土方巽のあいだで
木はリゾームである、そして非有機性のほうへ
新しいコギト、あるいは非有機的生
時間の歪みとカフカ
interlude*2 やさしい顔の「鬼」たち
Ⅴ 身体、物、イメージ
ニジンスキー事件――室伏鴻『真夜中のニジンスキー』プロジェクトのために
「脱」の舞踊――田中泯序説
事物と歴史(高山登)
見出された絵、怪物としてのイメージ(三井田盛一郎)
凡庸と幻視(小津安二郎)
映画の難民(ペドロ・コスタ)
喪の演劇(ジャン・ジュネ)
あとがき
初出一覧

宇野邦一(うの・くにいち)
1948年島根県松江市生まれ。哲学者、フランス文学者。京都大学文学部卒業後、パリ第8大学でジル・ドゥルーズの指導をうける。1980年にアントナン・アルトーについての研究で博士号取得。1979年には「文学の終末について」が第22回群像新人文学賞評論部門優秀作となる。著書に『ドゥルーズ――流動の哲学』、『非有機的生』、(以上、講談社選書メチエ)、『ジャン・ジュネ――身振りと内在平面』、(以文社)、『〈単なる生〉の哲学――生の思想のゆくえ』(平凡社)、『映像身体論』、『吉本隆明――煉獄の作法』(以上、みすず書房)、『ドゥルーズ――群れと結晶』(河出ブックス)、『反歴史論』(講談社学術文庫)、『ベケットのほうへ』(五柳書院)、『〈兆候〉の哲学――思想のモチーフ26』、『政治的省察――政治の根底にあるもの』(以上、青土社)など。訳書にアントナン・アルトー「神の裁きと訣別するため』(鈴木創士氏との共訳)、ジル・ドゥルーズ+フェリックス・ガタリ『アンチ・オイディプス』(以上、河出文庫)、サミュエル・ベケット『モロイ』、『マロウン死す』、『名づけられないもの』(以上、河出書房新社)、ジャン・ジュネ『判決』(みすず書房)など。