定価3,520円(本体3,200円)
発売日2024年6月25日
ISBN978-4-7917-7655-9
仏教はどこから来て、何であり、どこへ行くのか
近代において仏教には静かな革命が起こっていた。僧侶に限らず、個人や俗人が、さまざまな垣根を超えて活躍し、社会や時代のなかで仏教はその内実を再編成していった。清沢満之、近角常観、亀井勝一郎、鈴木大拙、高楠順次郎、五来重、梅原猛、瀬戸内寂聴……。気鋭の研究者が「近代仏教」を透徹したまなざしで見つめる、決定版。

序章 近代仏教とは何か
一 マインドフルネスから考える
二 個と伝統の往還
三 場所を超える俗人の仏教
四 現在進行形の世界宗教史
A 学知・精神・国家
第1章 吉田久一と清沢満之
はじめに
一 『清沢満之先生』と『清沢満之』
二 釈迦と親鸞の系譜
三 「悪」をめぐる問い
四 近代仏教と現世利益
第2章 清沢満之と近角常観
はじめに
一 プロフィールからの比較
二 布教・教化の方法とその影響
三 二つの「革新運動」
四 仏教近代化の多様性
第3章 青年文化としての布教日曜学校――大正期における「子ども」の布教
はじめに
一 仏教日曜学校の歴史と研究
二 教本の変容
三 求道日曜学校について
四 青年仏教徒の思惟世界
五 大正・青年・仏教文化
第4章 近代仏教と神道
はじめに
一 真宗vs神道
二 真宗=神道
おわりに
第5章 日本回帰の思想構造――亀井勝一郎におけるキリスト教と親鸞
はじめに
一 愛読書は『聖書』
二 彼は如何にして日本主義者となりし乎
三 土着・回帰・抵抗
おわりに
第6章 仏教ジャーナリスト大拙
一 天性のジャーナリスト
二 「新宗教」を論じる
三 凡庸と独創の大拙
四 ジャーナリストの罪
第7章 高楠順次郎と親鸞――グローバル世界の仏教学者
一 仏教学者の信仰
二 高楠と真宗
三 平等主義の権化
四 世界大戦後の転換
五 インド人との対論
六 親鸞から釈尊へ
第8章 昭和初期の仏教/キリスト教論争――高楠順次郎を中心として
はじめに
一 仏教=無神論をめぐる論争
二 キリスト教・マルクス主義・宗教
B 実践・生命・民俗
第9章 儀礼と近代仏教――『新仏教』の論説から
はじめに
一 『新仏教』と儀礼
二 慣習を問う視線
三 仏教者による慣習改革
四 「個」の儀礼論
五 『新仏教』の可能性
第10章 破戒の国の戒律論――「半透明の規範」の歴史
はじめに――日本仏教の特異性
一 戒律から国民道徳へ
二 浄土真宗の展開
三 禁酒の宗教
四 殺人の仏教
五 現代日本の僧侶たち
おわりに――半透明の規範
第11章 教養主義、生命主義、日本宗教
はじめに
一 教養主義と生命主義
二 仏教・親鸞・哲学
三 僧侶の教養/生命主義
四 生命主義から宗教へ
おわりに
第12章 役行者の近代
一 超人としての役行者
二 教祖像の近代化
三 坪内逍遥「役の行者」
四 人間と超人のあいだ
五 近代化されざるもの
第13章 仏教民俗学の思想――五来重について
はじめに
一 仏教批判としての民俗学
二 実践の日本仏教
三 庶民信仰の論理
四 五来重のあとに
第14章 五来重と仏教民俗学の誕生
はじめに
一 仏教民俗学以前――戦前の学問形成期
二 仏教民俗学の誕生――戦後の実践学として
三 聖の仏教――『高野聖』について
四 庶民信仰の仏教史――五来重の歴史観
おわりに
第15章 梅原猛の仏教思想
はじめに
一 懐疑と批判による創造
二 生きるための仏教
三 近代仏教思想のなかで
おわりに
第16章 仏教者 瀬戸内寂聴
一 彼女はなぜ出家したのか
二 仏教の本来性を取り戻す
三 キリスト教でもありえた
終章 俗なる聖性を求めて
あとがき
初出一覧
人名索引

碧海寿広(おおみ・としひろ)
1981年東京都生まれ。武蔵野大学教授。専門は宗教学、近代仏教研究。慶應義塾大学経済学部卒、同大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。博士(社会学)。著書に『近代仏教のなかの真宗』(法藏館、2014)、『入門 近代仏教思想』(ちくま新書、2016)、『仏像と日本人』(中公新書、2018)、『科学化する仏教』(角川選書、2020)、『考える親鸞』(新潮選書、2021)、『高楠順次郎』(吉川弘文館、2024)など。