定価3,630円(本体3,300円)
発売日2023年8月29日
ISBN978-4-7917-7585-9
「国民」の矛盾を問う
近代の国民国家思想・ナショナリズムに起因する「ユダヤ人」問題、シオニズム、そしてイスラエル国家について。矛盾する理念に思想はなにを問い、なにを問わずにきたのか。ネイションの世界的展開を再考する、かつてないユダヤ‐イスラエル論。

[目次]
まえがき
序章 「偽日本人」と「偽ユダヤ人」―あるいは「本来的国民」の作り方
イスラエルの「帰還法」とユダヤ人……日本の「帰還法」と日本人……国民とは誰か
Ⅰ 「イスラエル」の原点 普遍性と特異性のアポリア
第一章 ユダヤ人国家か国民国家か―二つの独立宣言
二つの「独立宣言」……デリダの「アメリカ合衆国独立宣言」分析……イスラエルの「国家独立宣言」
第二章 ユダヤ人国家か二民族共存か―歴史としてのバイナショナリズムの挑戦
アーレントの二民族共存国家論……ブーバーの二民族共存国家論……二民族共存国家論のコンテクスト
第三章 マルティン・ブーバーの共同体論と国家
ブーバーの共同体思想……経済と血と土地のイデオロギー……普遍性と特殊性
第四章 ハンナ・アーレントと国家創設のプロジェクト
ヘブライ大学……デリダとハイデガー……「ヨーロッパ」の問い直し
Ⅱ 「イスラエル」の現在 リベラリストたちの葛藤
第五章 ハンナ・アーレントの「沈黙」
アーレントの国民国家観―『全体主義の起源』……アーレントのアメリカ観―『革命について』……アーレントにおける中庸の理念―『人間の条件』、『共和国の危機』
第六章 ジュディス・バトラーの「躊躇」
ジュディス・バトラーのイスラエル批判……ユダヤ「人種」の矛盾とディアスポラ不義……パレスチナ人からの応答
第七章 アイザイア・バーリンの「矛盾」
リベラリズム/ナショナリズム/シオニズム……シオニズムにおいて「左派」で「和平派」であること……シオニストの自己矛盾
第八章 エドワード・サイードの「格闘」
サイード/ウォルツァー論争……ボヤーリン兄弟との論争……「非ユダヤ的ユダヤ人」とバイナショナリズム
***
終章 イスラエル/パレスチナにおける国家理念の行方
パレスチナ国家の行方……バイナショナリズムの諸相……内部矛盾を深めるイスラエル
註
新装版あとがき
索引

[著者]早尾貴紀(はやお・たかのり)
一九七三年生まれ。東京経済大学教授。専攻は社会思想史。著書に『国ってなんだろう?』(平凡社)、『パレスチナ/イスラエル論』(有志舎)、『希望のディアスポラ 移民・難民をめぐる政治史』(春秋社)。共編書に『シオニズムの解剖』(人文書院)、『ディアスポラから世界を読む』(明石書店)、『残余の声を聴く 沖縄・韓国・パレスチナ』(明石書店)、『徐京植 回想と対話』(高文研)。共訳書にサラ・ロイ『ホロコーストからガザへ』(青土社)、ジョナサン・ボヤーリン/ダニエル・ボヤーリン『ディアスポラの力』(平凡社)、イラン・パペ『パレスチナの民族浄化』(法政大学出版局)、ハミッド・ダバシ『ポスト・オリエンタリズム』(作品社)。監訳書にエラ・ショット、ロバート・スタム『支配と抵抗の映像文化』(法政大学出版局)。