定価3,960円(本体3,600円)
発売日2022年4月12日
ISBN978-4-7917-7460-9
優れた一冊は、百冊の凡庸な書に勝る。
我ら現代人の「生きる」不安を、快刀乱麻の如く断ち切り、勇気を授けるマニエリスム――。近年黄泉へと旅立った学芸・芸術のトップランナーの偉業への共感と共振とによって捧げられた、マニエリストの熱烈な讃辞とオマージュの数々。希望と可能性に満ち満ちた痛快にして荘厳なる大冊。
[目次]
序
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ポイエーシスの星座――たかや魔ひろし頌 高柳誠
第Ⅰ部
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知識がアートになってどこが悪い
1.知識がアートになってどこが悪い
2.強烈な嫉妬からの学び
3.高山學魔ののはじめ方――本宅訪問記 加藤魔女亭
4.古書ほうろうに蔵書放出 宮地健太郎
5.學魔書庫訪問記――地獄篇 後藤 護
6.現実こそ幻想――ポストトゥルース時代のマニエリスム
7.「律儀な無頼」かく語りき――マニエリスムという人生作法
8.ライプニッツのユニコーン 森 毅×高山 宏
9.「良き隣人関係」をめぐって 山口昌男×高山 宏
10.松岡正剛の千冊《1235夜》――バーバラ・スタフォード『ヴィジュアル・アナロジー』 松岡正剛
11.逆世界のパラダイムヘようこそ――『アリス狩り』書評第一号 森常治
12.ヘルメス、ザ・カード・メイカー
第Ⅱ部
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「同窓」人、それぞれの節目
1.タツミの方角に宝あり――巽孝之『メタフィクションの歴史』解説
2.スタイナーもまた巽の方角
3.温故知新革命――巽 孝之『ニュー・アメリカニズム』へ
4.巽孝之『リンカーンの世紀』へ――アメリカ大統領たちの文学思想史
5.『ガラスのような幸福』(高山宏著) 巽 孝之
6.甦るメルヴィル、読み直すアメリカ 巽 孝之×高山 宏
7.もう「挑発」のし甲斐もない――八木敏雄先生追善
8.アメリカン・マニエリスムとは何か 八木敏雄
9.獏の夢――夢枕獏『白鯨』を読む
10.私 信――荒巻義雄
11.意外にして偉大な学恩――沼野充義讃
12.ブルーム、スタイナー氏逝去とヌマノ氏退官――沼野充義『徹夜の塊3 世界文学論』へ
13.卓越した問題集に解答はない 鹿島 茂
14.3冊の本――『世紀末異貌』、『テクスト世紀末』、『終末のオルガノン』 鹿島茂
15.イナセな逝き方――柳瀬尚紀先生追悼
16.遠街にひとあらはれて――須永朝彦大人送別
17.先輩・後輩 加賀野井秀一×高山 宏
18.奇譚を口実にポップ・マニエリスム――中野美代子『契丹伝記集』をめぐって
第Ⅲ部
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視覚文化追善のとき
1.保元平治アデュナタの熱狂――「鳥獣戯画」考
2.こうしてくるんとひとまわり――絵本・表象論覚え
3.絵本の魔術師P・ニューエルとL・キャロル『鏡の国のアリス』
4.Anno Mirabilis――安野光雅画伯追善
5.バーバラとツトム、とヒロシ――戸田ツトム氏追善
第Ⅳ部
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「ファクチュアル」がパンデミック
1.神訳版『ガリヴァー旅行記』(研究社版)訳者解題
2.タカヤマ神がかり――令和交雑文体の修辞学 津田正
3.「ファクト」と「フィクション」が交わるところ 原田範行×高山宏
4.『ガリヴァー旅行記』の「学魔」訳を読んで眼前一変! 小林章夫
5.時代の寵児という他なし――立花隆氏追悼
6.コッティングリー妖精事件と今
7.木がモダニズムを擬態する――クロード・シモン『アカシア』について
8.もし彼が英文へ行き、僕が仏文に行ってたら――渡邊守章先生追善
跋
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高山宏とつなぐことの実存的跳躍 吉田朋正
書 真行寺君枝
書 松岡玄月正剛
[著者]高山宏(たかやま・ひろし)
1947年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東京都立大学、明治大学、大妻女子大学副学長を歴任。著書に、『アリス狩り』シリーズ、『トランスレーティッド』ほか多数。訳書に、E・シューエル『ノンセンスの領域』、M・プラーツ『ムネモシュネ』ほか多数。「學魔」と称される。