定価3,960円(本体3,600円)
発売日2021年4月13日
ISBN978-4-7917-7367-1
東洋哲学の精華を読み解く
インド、中国そして日本。古代から近代へと、東洋思想の核心を求めて。
この世界は、実体的存在などなく、あらゆるものが互いに関係し合って存在している。ではそこで自己とはいかなる存在で、どのようにあるべきなのか。唯識の事的世界観から華厳の事事無礙法界へ、さらに空海の人人無礙の曼荼羅、そして西田の「個物の哲学」へ。東洋の大地にそびえたつ哲学の連峰を縦横に踏破し、その叡智の真髄を未来に向けて照らし出す壮大な書。

[目次]
はじめに
唯識から西田まで / それぞれの思想の簡略な紹介 / その間の脈絡について / 本書の内容
Ⅰ 唯識の哲学
第一章 唯識の哲学(一)事的世界観としての唯識思想
唯識思想の歴史の概要 / 識とは何か / 八識の概要 / 物自体と阿頼耶識 / 八識の相続の世界 / 五位百法の分析 / 感覚の世界の特質 / 言語の本質 / 三性説の理論 / 現象と本性との関係
第二章 唯識の哲学(二)仏の本質と仏道の核心
はじめに / 涅槃とは何か / 菩提とは何か / 三身の仏について / 修行の階梯について / 加行位の唯識観 / 見道の覚り――無分別智 / 無明・煩悩の浄化ということ / 他者の問題
Ⅱ 華厳の哲学
第三章 華厳の哲学(一)事事無礙法界の理路
『華厳経』の概要 / 『華厳経』の唯心思想 / 『華厳経』の如来蔵思想 / 『華厳経』の無尽縁起説 / 華厳宗の教祖判釈 / 四法界の説 / 関係性の論理構造 / 十銭を数える / 「十玄門」の内容/ 「六相円融義」の論理
第四章 華厳の哲学(二)華厳唯識の逆説的展開
華厳の修道論 / 善財童子の求道遍歴 / 華厳の仏身論 / 唯識から華厳へ / 基の五重唯識観について / 十重唯識の思想
Ⅲ 空海の哲学
第五章 空海の哲学(一)十住心による仏教の全景
空海とは誰か / 空海はなぜ仏教を選んだのか / 密教とは何か / 『秘蔵宝輪』の序の詩について / 『秘蔵宝輪』に見る十住心 / 道徳と宗教 / 法華と華厳
第六章 空海の哲学(二)動態的曼荼羅の風光
空海の人間観・世界観を尋ねて / 『声字実相義』の言語哲学 / 「声字実相」が明かす世界 / 内外の六塵に言語を見る / 『即身成仏義』の六大無礙について / 「即身成仏頌」が明かす原風景 / 「重重帝網のごとくなる即身」 / 自己の心の源底の世界 / 金剛界・胎蔵界曼荼羅の構成 / 『秘密曼荼羅十住心論』の「帰敬頌」の世界
Ⅳ 西田の哲学
第七章 西田の哲学(一)「超個の個」の宗教哲学
西田における仏教と哲学 / 場所の論理と個物(自己) / 絶対者の自己否定における自己 / 田辺元の道元理解への疑義 / 西田の道元理解 / 超個の個の哲学 / 西田の真宗観 / 西田のキリスト教観 / 西田の宗教哲学の核心
第八章 西田の哲学(二)自他間の根源的構造と当為
「平常底」の世界 / 自然法爾とはどういうことか / 報恩から当為へ / 個は個に対して個である / 汝を認めることによって自己である / 自他間での当為を自覚する道 / 現実世界の原構造 / 仏教の課題と西田哲学
付篇 鈴木大拙の華厳学 霊性的日本の建設
はじめに――大拙および華厳思想について / 大拙の華厳研究について / 『華厳経』および華厳思想への高い評価 / 華厳思想による現実社会構築への構想 / 華厳思想と仏の大悲心 / まとめ
あとがき

[著者]竹村牧男(たけむら・まきお)
1948年東京生まれ。1971年東京大学文学部卒業、75年同大学院印度哲学専修博士課程中退。三重大学助教授、筑波大学教授、東洋大学教授、東洋大学学長を歴任。東洋大学名誉教授。専門は仏教学、宗教哲学。唯識思想研究で博士(文学)。著書に『唯識の構造』(春秋社、1985)、『華厳とは何か』(春秋社、2004)、『西田幾多郎と鈴木大拙』(大東出版社、2004)、『入門 哲学としての仏教』(講談社現代新書、2009)、『『大乗起信論』を読む』(春秋社、2017)、『空海の哲学』(講談社現代新書、2020)ほか多数。