見て読んで書いて、死ぬ

高山宏 著

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見て読んで書いて、死ぬ

定価3,520円(本体3,200円)

発売日2016年12月7日

ISBN978-4-7917-6963-6

まずに
ねるか。
ずして
れようか。

果敢な領域横断によって思考と感性を鍛え上げ、百学連環の祝祭空間構築を目指す高山学=タカヤマ・ワールド。万巻の名著・大作・綺想そして映像の誘いに縦横無尽に挑む、壮烈にして華麗なる耽読の百番勝負!

「・・・かつては一日に一冊読んだ。書評に名を借りた論文というスタイルで、よくものを書いた。読みについても魔と呼ばれる巧者と言われ、達人の名をたまわった。・・・・・・」

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【目次】

前口上

第1部 読む


1. マニエリスム最強の入門書
Falguières, Patricia, “Le maniérisme; Une avant-garde au XVIe siècle”.

2.「驚異の部屋」の新歴史学
Evans, R. J. W. & Marr, Alexander(eds.), “Curiosity and Wonder from the Renaissance to the Enlightenment”.

3. 二十一世紀という十六世紀をこそ
『モナリザの秘密―絵画をめぐる25章』ダニエル・アラス[著]吉田典子[訳]

4.「図説」文化史はどうしてこんなに面白い
『はじまりの物語―デザインの視線』松田行正


5. 暗号はミリタリー・マニエリスム
『暗号事典』吉田一彦、友清理士

6. 高校生がピクチャレスクを学ぶ日
『イギリス的風景―教養の旅から感性の旅へ』中島俊郎

7.「卓」越する新歴史学の妙
『食卓談義のイギリス文学―書物が語る社交の歴史』圓月勝博[編]

8. 高知尾仁の「人類学精神史」
『表象のエチオピア―光の時代に』高知尾 仁/『食卓談義のイギリス文学―書物が語る社交の歴史』圓月勝博[編]

9. 絵解き歴史学の魅力
『大英帝国という経験』井野瀬久美惠(「興亡の世界史16」)

10. 猫と新歴史学
『猫はなぜ絞首台に登ったか』東ゆみこ

11. デザイン愛への誘惑者
バルトルシャイティス著作集1『アベラシオン―形態の伝説をめぐる4つのエッセー』/J・バルトルシャイティス[著]種村季弘、巖谷國士[訳]

12. マニエリスム英文学を体感
『シェイクスピアのアナモルフォ―ズ』蒲池美鶴

13. マニエリスト皇帝のテアトロクラシー
『乾隆帝―その政治の図像学』中野美代子


14. もっとストイックなドラコニアをという欲ばり
『書物の宇宙誌―澁澤龍彦蔵書目録』国書刊行会編集部

15. 種村季弘の「散りつつ充ちる」
『断片からの世界―美術稿集成』種村季弘

16. 由良君美という「敗者の精神史」
『先生とわたし』四方田犬彦

17. 英語でキルヒャー
『自然の占有―ミュージアム、蒐集、そして初期近代イタリアの科学文化』 ポーラ・フィンドレン[著]伊藤博明、石井朗[訳]

18. サムライの兜をレンブラントが描いた秘密
『レンブラントのコレクション―自己成型への挑戦』尾崎彰宏

19. 人的交流というメタモルフォーゼ
『モスラの精神史』小野俊太郎

20.「エロティックなサーカス」の俗流マニエリスム
『体位の文化史』 アンナ・アルテール、ペリーヌ・シェルシェーヴ[著]藤田真利子、山本規雄[訳]

21. 動きだす絵、それがアニメーションの定義と思い知れ
『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』ルイス・キャロル[作]/ヤン・シュヴァンクマイエル[挿画]

22. 虚無の大海もトリヴィア泉の一滴に発す
『スナーク狩り』ルイス・キャロル[作]高橋康也[訳]河合祥一郎[編] 


23. 名作「いまあじゅ」で、マニエリスムがメディアの問題になった
『キャンディとチョコボンボン』収録「いまあじゅ」大矢ちき

24. やっぱ好きでたまらぬ人が訳さなくては、ね
『記憶の部屋―印刷時代の文学的‐図像学的モデル』リナ・ボルツォーニ[著]足達薫、伊藤博明[訳] 

25. 全美術史を壺中に封じる、これも「記憶の部屋」だ
『美術愛好家の陳列室』ジョルジュ・ペレック[著]塩塚秀一郎[訳]

26. あのスタフォードも『驚異装置』展をロサンゼルスで開いた
『ウィルソン氏の驚異の陳列室』ローレンス・ウェシュラー[著]大神田丈二[訳] 

27. フランス版『ガロ』が、ベー・デーを転倒させてのデー・ベー
『大発作―てんかんをめぐる家族の物語』ダビッド・ベー[作]関澄かおる[訳] 

28. 痴愚礼讃、あとは若いのにまかせりゃいい
『老愚者考―現代の神話についての考察』A・グッゲンビュール=クレイグ[著]山中康裕[監訳]

29.「働いて自由になれ」、アウシュビッツの門にそう書いてあった
『働かない―「怠けもの」と呼ばれた人たち』 トム・ルッツ[著]小澤英実ほか[訳] 

30. 人文学が輝いた栄光の刹那をそっくり伝える聖愚著
『道化と笏杖』 ウィリアム・ウィルフォード[著]高山宏[訳]

31. 人文学生のだれかれに、コピーして必ず読ませてきた
『さかさまの世界―芸術と社会における象徴的逆転』バーバラ・A・バブコック[編] 岩崎宗治、井上兼行[訳]

 ❺
32. 十字架にロバがかかったイコン、きみはどう説明する?
『ロバのカバラ―ジョルダーノ・ブルーノにおける文学と哲学』ヌッチョ・オルディネ[著]加藤守通[訳]

33. 二度目読むときは、巨匠の手紙のとこだけね
『山口昌男の手紙―文化人類学者と編集者の四十年』大塚信一

番外「学魔・高山宏、知の系譜と人文科学の未来を語る」講演
百学往還のバックステージ

34. アナロギア・エンティスの天才と同じ時代に生きていることに感謝
『ミクロコスモス』〈1〉〈2〉中沢新一

35. 哲学されなかったもののなかった三世紀をねじふせる
『哲学の歴史』〈4〉「ルネサンス 15―16世紀」伊藤博明

36. 読む順序をまちがわねば、笑う図像学、きっと好きになる
『シンボルの修辞学』エトガー・ヴィント[著]秋庭史典、加藤哲弘、金沢百枝、蜷川順子、松根伸治[訳] 

37. それって要するに職人たちのマニエリスムなのである
『一六世紀文化革命』〈1〉〈2〉山本義隆

38. レオナルドを相手に本を編むことのむつかしさ
『レオナルド・ダ・ヴィンチの世界』池上英洋[編著]

39. 現代アニメの描画法もマニエリスムの末裔と知れた
『ダ・ヴィンチ 天才の仕事―発明スケッチ32枚を完全復元』 ドメニコ・ロレンツァ、マリオ・タッディ、エドアルド・ザノン[著]松井貴子[訳] 


40. ヴンダーカンマーを観光案内してくれる世代が出てきた
『愉悦の蒐集―ヴンダーカンマーの謎』小宮正安

41. オタク死んでも、やっぱマラルメは残るぞかし
『人造美女は可能か?』巽孝之、荻野アンナ[編]

42. 本当はフロイトその人が一番あぶないのかも
『ホフマンと乱歩 人形と光学器械のエロス』平野嘉彦

43. 発明とモードに狂うのは内がうつろなればこその
『20世紀』 アルベール・ロビダ[著]朝比奈弘治[訳] 

44. 編集とは発明、と言うのはなにも松岡正剛さんだけではなかった
『名編集者エッツェルと巨匠たち―フランス文学秘史』私市保彦

45. あのマリオ・プラーツが中心でにらみをきかせた文と学の一大帝国
マリオ・プラーツ編 『文学、歴史、芸術の饗宴』全10巻  監修・解説:中島俊郎

46. マルクスもフロイトもみんなみんなレールウェイ
『鉄道旅行の歴史―19世紀における空間と時間の工業化』 ヴォルフガング・シヴェルブシュ[著]加藤二郎[訳]

47. 第一次大戦は「キュビズムの戦場」だった
『空間の文化史』スティーヴン・カーン[著]浅野敏夫、久郷丈夫[訳] 

48. そうか、パラドックスを考えるのに庭以上のものはないわけだ
『イギリス風景式庭園の美学―「開かれた庭」のパラドックス』安西信一 


49. あまりにもみごとに閉じた〈開け〉の本
『パラドックスの詩人ジョン・ダン』岡村眞紀子

50. あの『GS』テイストは今吹かれると一段と気持ちいい
10+1 series 『Readings:1 建築の書物 都市の書物』五十嵐太郎[編]

51. 空間はどきどきしている/風船だ、と歌う大理論書だ
『歪んだ建築空間―現代文化と不安の表象』アンソニー・ヴィドラー[著]中村敏男[訳]

52. ディテールの神に嘉されて永久に年とる暇などない
『綺想迷画大全』中野美代子

53.「汚点(しみ) 心を迷わせるための」
『アンリ・ミショー ひとのかたち』東京国立近代美術館[編著]

54. 人は七〇歳でこんなやわらかいファンタジアを持てるものなのか
『ファンタジア』 ブルーノ・ムナーリ[著]萱野有美[訳] 

55. 関西弁のマニエリスムかて、や、めっさ、ええやん
『わたくし率 イン 歯ー、または世界』川上未映子/『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』川上未映子

56. 曖々然、昧々然たる(ポスト)モダニズムの大パノラマ
『潜在的イメージ―モダン・アートの曖昧性と不確定性』 ダリオ・ガンボーニ[著] 藤原貞朗[訳] 


57. ホモ・フォトグラフィクムが一番性悪だった
『秘密の動物誌』ジョアン・フォンクベルタ、ペレ・フォルミゲーラ[著]荒俣宏[監修]管啓次郎[訳] 

58. エイデティック(直観像素質者)のみに書ける本
『都市の詩学―場所の記憶と徴候』田中純

59.「視覚イメージの歴史人類学」にようやっと糸口
『時代の目撃者-資料としての視覚イメージを利用した歴史研究』ピーター・バーク[著]諸川春樹[訳]

60. そっくりピクチャレスクと呼べば良い
『広重と浮世絵風景画』大久保純一

61. 夢の美術館から戻ってきた感じ
『江戸絵画入門―驚くべき奇才たちの時代』~「別冊太陽」日本のこころ150号特別記念号 河野元昭[監修]

62.タイモン・スクリーチにこんな芸があったのか
『江戸の大普請―徳川都市計画の詩学』タイモン・スクリーチ[著]森下正昭[訳] 

63. シンプル・イズ・ベストを「発犬」させる一冊
『南総里見八犬伝 名場面集』湯浅佳子

64. ロラン・バルトもバフチンもいろいろ
『クロモフォビア-色彩をめぐる思索と冒険』デイヴィッド・バチェラー[著]田中裕介[訳] 


65. 視覚メディア論、どうして最後はいつもイエズス会?
『綺想の表象学―エンブレムへの招待』伊藤博明

66.「文明の衝突」の真の戦場が少女たちの体であること
『ウーマンウォッチング』デズモンド・モリス[著]常盤新平[訳]

67. 鼻で笑えない新歴史学の芥川論
『芥川龍之介と腸詰め(ソーセージ)―「鼻」をめぐる明治・大正期のモノと性の文化誌』荒木正純

68. ルース・ベネディクトの『菊と刀』に心底恐怖した
『知の版図―知識の枠組みと英米文学』鷲津浩子、宮本陽一郎[編]

69. ひと皮むけたら凄いことになるはずの蓄積
『時の娘たち』鷲津浩子

70. 宇宙が巨大なマガザンであるかもしれない夢
『後ろから読むエドガー・アラン・ポー―反動とカラクリの文学』野口啓子

71. 珍しくヨーロッパ・ルネサンスに通じたアメリカ文学者の大なた
『ホーソーン・《緋文字》・タペストリー』入子文子


72. いまさらながら巽孝之には「おぬし、できるな」である
『視覚のアメリカン・ルネサンス』武藤脩二、入子文子[編著]

73. 明治行く箱舟、平成の腐海にこそ浮けよかし
『ウェブスター辞書と明治の知識人』早川勇

74. 学と遊びが共鳴するこういう本をエロティックスと呼ぶ
『画文共鳴―『みだれ髪』から『月に吠える』へ』木股知史

75. 速く、速く、速く、昼も夜も一刻も失うことなく
『ハプスブルク帝国の情報メディア革命―近代郵便制度の誕生』菊池良生

76. ドイツ文学かて、やる人、ちゃんとおるやないの
『ドイツ文化史への招待―芸術と社会のあいだ』三谷研爾[編]

77.「モダンクラシックス」の名に愧じぬ呆然の一冊
『フロイトとユング―精神分析運動とヨーロッパ知識社会』上山安敏

78. これでもう一度、一からのマクルーハン
『マクルーハンの光景 メディア論がみえる』宮澤淳一

79. フーコーの「タブロー」が降霊会の「テーブルに」に化けた
『フランス〈心霊学〉考―宗教と科学のフロンティア』稲垣直樹

80. 私たちは毎日パズルを解きながら暮らしているようなものだ
『巨匠の傑作パズルベスト100』伴田良輔


81.「知」は何かを明らかにしつつ、他の何かを覆い隠してしまう
『パラドックスの扉』中岡成文

82.「疾風怒濤」を思いきって「ゴス」と呼んでみよう
『シラーの「非」劇―アナロギアのアポリアと認識論的切断』青木敦子

83. 『アムバルワリア』を読んだら次にすること
『アルス・コンビナトリア―象徴主義と記号論理学』ジョン・ノイバウアー[著]原研二[訳] 

84. ブレーデカンプに新しい人文学への勇気をもらう
『古代憧憬と機械信仰―コレクションの宇宙』ホルスト・ブレーデカンプ[著]藤代幸一、津山拓也[訳] 

85. 美術館が攻撃的で暴力的だなんて感じたこと、ある?
『ミュージアムの思想』松宮秀治

86.「オー・セゾン!」。改めて「熱いブクロ」を思いだした
『美術館の政治学』暮沢剛巳

87. 書評がなにやら企画趣意書になってしまう相手
『博物学のロマンス』リン・L・メリル[著]大橋洋一、照屋由佳、原田祐貨[訳]

88. いろいろあるけど、全部許せる表紙にヤラレタッ
『GOTH』横浜美術館[監修]

・・・・以降は本書を直接ご覧ください。

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[著者] 高山宏(たかやま ひろし)

1947年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在は大妻女子大学教授。表象文化論。著書に『アリス狩り』シリーズ、『近代文化史入門』、『風神の袋』ほか多数。訳書に、L・キャロル『不思議の国のアリス』、W・ウィルフォード『道化と笏杖』、E・シューエル『オルフェウスの声』、R・L・コリー『パラドクシア・エピデミカ』ほか多数。最新刊に『アレハンドリア』(アリス狩りV)。